原因は大幅な価格インパクトとAave報告 分散型金融(DeFi)プロトコルのアーベ(Aave)のインターフェース上で5,000万USDT ($1.00 · Live)を使ってAAVE ($116.44 · Live)トークンを購入する取引が行われた結果、受け取ったトークンが324AAVEのみとなる事案が発生した。アーベの創業者スタニ・クレチョフ(Stani Kulechov)氏が3月13日に自身のXアカウントで説明した。 クレチョフ氏によると、ユーザーはアーベのインターフェースを通じて約5,000万USDT(約79.7億円)でAAVEを購入しようとしたという。しかし注文規模が大きかったため、アーベのインターフェースは「高い価格インパクト」を警告し、チェックボックスによる確認を求めていたとされる。その結果、最終的に受け取ったのは324AAVE(約576万円:3月13日時点)のみだったと説明されている。 クレチョフ氏によると、この取引はカウスワップ(CoW Swap)を通じて実行されたという。カウスワップは分散型取引のルーティングシステムで、複数の取引経路をオークション方式で競わせることで最適な価格での取引実行を目指す仕組みを持つ。 同氏は、今回の取引においてカウスワップのルーターは意図どおりに動作しており、システム自体は業界標準の慣行に沿っていたと説明している。 一方で同氏は、今回の結果について「明らかに最適ではなかった」と説明した。そのうえで、ユーザー保護に向けた追加の安全策を検討していく方針を示した。 なお、その後3月15日に公開されたアーベの事後報告(ポストモーテム)によると、本件は「aEthUSDT」と「aEthAAVE」の交換で発生した事案だったという。aEthUSDTおよびaEthAAVEは、アーベに預け入れた資産に1:1で交換可能な「aToken」と呼ばれる預け入れトークンだ。 同レポートによると、本件の主な原因は流動性の乏しい市場での大規模注文だったとされている。ユーザーが注文した取引規模が市場の流動性に対して極端に大きかったため、提示された価格が大きく悪化する「価格インパクト」が発生したという。 取引時には「価格インパクト99.9%」という警告が表示されており、ユーザーは「最大で100%の価値損失の可能性」を確認するチェックボックスに同意したうえで取引を実行していたとされる。 今回の事例を受け、アーベは「アーベシールド(Aave Shield)」と呼ばれる新機能を導入する方針を示している。同機能は価格インパクトが25%以上のスワップを自動的にブロックする仕組みで、ユーザーが設定画面で保護機能を解除しない限り取引は実行できないという。 CoW Swapは複合的な要因を指摘 一方で3月15日に発表されたカウスワップの事後報告では、今回の損失は単純な流動性不足だけでなく、複数の要因が重なった結果だったと説明されている。 カウスワップによると、本来はより有利な価格で取引できるルートも存在しており、約500万〜600万ドル(約7.9億円〜約9.5億円)相当のAAVEを受け取る可能性もあったという。しかしクオート検証システムに設定されていた古いガス上限の影響で、それらのルートが検証段階で失敗し、約329AAVEという大きく不利なクオートが採用されたと説明されている。 さらに取引実行の段階でも問題が発生した。カウスワップではユーザー注文を実行する「ソルバー」と呼ばれる第三者がオークション形式で取引を実行するが、より有利なルートを見つけたソルバーが2度オークションに勝利したものの、オンチェーンでの実行に失敗したという。その後このソルバーが入札を停止したことで、最終的により不利なルートが実行されたとされている。 またカウスワップは、取引直後に同一ブロック内で大規模なバックラン取引が発生し、アービトラージ業者が多くの価値を回収したと説明している。さらにトランザクションがプライベートRPC経由で送信されたにもかかわらず、パブリックメンプールへ漏洩した可能性も指摘しており、この点については現在も調査が続いているという。 このように本件は、アーベの報告では主な原因は流動性の乏しい市場での大規模注文による価格インパクトとされているが、カウスワップは取引ルートの検証や実行の過程でいくつかの問題が重なったと指摘している。 今回のスワップでは約110,368ドル(約1,759万円)の手数料が発生したとされている。アーベはこの手数料について、ユーザーが連絡した場合には返還する方針を示している。またカウスワップを運営するカウDAO(CoW DAO)も、この取引でDAOに送られた手数料を返金する方針を明らかにしている。 Earlier today, a user attempted to buy […]